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はじめてのミノキシジルの副作用(外用・内服)と注意点をやさしく解説

「ミノキシジル、効くらしいからとりあえず使い始めてみたけど…頭皮がかゆくなって不安」

「知人がミノキシジル内服で発毛したって聞いたから、個人輸入で買ってみた」

——そんな経験をお持ちの方はいませんか?

薄毛治療薬として広く知られるミノキシジルは、確かに発毛効果が科学的に認められた成分です。

市販の外用薬も増えて手軽に入手できるようになった反面、

「どのタイプを選べばいいの?」「副作用が心配…」「本当に自分に合っているのか分からない」

など、正しい情報がないまま自己判断で使ってしまい、後悔するケースも少なくありません。

特に注意が必要なのは、ミノキシジルの“内服薬(通称ミノタブ)。

一部では「外用薬より効果が高い」とも言われていますが、実は日本では未承認であり、心臓や血圧への影響など重大な副作用が報告されています。

薄毛治療は“続けること”が前提となる長期戦です。

だからこそ、目先の効果に飛びつくのではなく、「安全に、無理なく続けられるか」を見極めることが、後悔しない治療選びにつながります。

この記事では、ミノキシジルの仕組みや種類(外用薬・内服薬)の違い、副作用のリスク、効果的な使い方まで、専門的な内容をやさしく解説します。読み進めることで、あなたにとって本当に合った薄毛対策が見えてくるはずです。

ミノキシジルとは?

ミノキシジルは、発毛成分として広く使われている成分です。

もともとは高血圧の治療薬として開発されましたが、副作用として発毛効果が見られたことから、薄毛治療に応用されるようになりました。

現在では、男性型脱毛症(AGA)や女性型脱毛症(FAGA)に対して、ミノキシジルを含む外用薬が広く使用されています。

血管を広げて頭皮の血流を良くすることで、毛根に栄養を届けやすくし、髪の成長をサポートすると考えられています。

日本皮膚科学会のAGA診療ガイドラインでも、ミノキシジル外用薬は「行うよう強く勧められる(推奨度A)」とされており、効果が期待できる治療法のひとつです。

ミノキシジル配合の外用薬は、医療機関で処方されるものから、薬局などで購入できる一般用医薬品(市販薬)までさまざまなタイプが販売されています1

ミノキシジルの効果はおもに3つ

ミノキシジルは、発毛成分として世界中で使用されており、その効果は多くの臨床研究で実証されています。

とくに以下の3つの作用は、薄毛に悩む方々にとって大きなメリットになるとされています。

それぞれの内容を詳しく解説します。

①発毛効果

ミノキシジルには、毛根にある「毛母細胞」を活性化させる作用があるとされています。

この働きによって髪の成長サイクルである「成長期」が延び、細くなった髪が太く育ち、見た目のボリューム感もアップします。

実際に、半年ほどで「髪にハリが出てきた」「地肌が目立たなくなった」と効果を実感できるようになったという声もあります。

個人差はあるものの、継続使用で確かな変化を感じられる治療法です2

②抜け毛の進行予防

ミノキシジルは、「これ以上抜け毛を増やしたくない」という方にも適した治療薬です。

特に壮年性脱毛症(AGAやFAGA)においては、髪が抜けるスピードを緩やかにする効果が報告されています。

外用薬を継続的に使用することで、現状の毛量を保ちやすくなり、日々の変化は小さくても、1〜2年という長いスパンで見たときに「進行していない=成功」と言えることもあります。

これは治療を始めた方にとって、安心材料になるポイントです3

③血流促進効果

もともとミノキシジルは高血圧治療薬として開発された背景があり、血管を広げる作用=血流促進効果がよく知られています。

この作用によって、頭皮の毛根までしっかりと酸素や栄養が届くようになり、発毛しやすい環境を整えることができます

とくに「血行不良による薄毛」が気になる方には、こうした血流改善の効果も大きな魅力です4

ミノキシジルには内服薬と外用薬がある

ミノキシジルには、頭皮に直接塗る「外用薬」と、飲み薬として摂取する「内服薬(通称:ミノタブ)」の2タイプがあります。

日本国内で正式に認可されているのは外用薬のみですが、海外では内服薬も薄毛治療に使われるケースがあります。

それぞれの特徴や注意点を正しく理解して、自分に合った方法を検討することが大切です。

内服薬(ミノタブ)

ミノキシジルの内服薬は、もともと高血圧の治療薬として使われていたもので、血管拡張作用が非常に強いという特徴があります。

日本では薄毛治療薬として承認されておらず、心臓や血圧への影響を含む副作用リスクがあるため、現在のところ日本皮膚科学会のAGA診療ガイドラインでは「推奨度D(行うべきではない)」とされています5

とはいえ、すべての内服薬が危険というわけではありません。

海外では「低用量ミノキシジル(Low-Dose Oral Minoxidil)」に関する研究も進んでおり、発毛効果と副作用のバランスを検証する動きもあります。

こうしたデータはあくまで海外の症例であり、日本で使用する際には医師の判断が欠かせません。

「髪が増える可能性」と「体への負担」をしっかり天秤にかけ、医師と相談しながら安全な方法を選ぶことが大切です。

外用薬

日本で正式に承認されているのが、ミノキシジルの外用薬(頭皮に塗るタイプ)です。

市販薬では1%や5%の濃度製品があり、医療機関ではより高濃度の処方薬も選べます。

外用タイプは頭皮の血流を局所的に改善し、頭皮に栄養が届きやすい状態に整えることで、発毛を促す作用があるとされています。

そのため副作用のリスクも比較的低く、AGA・FAGA治療の第一選択肢として広く用いられています。

外用薬は、「脱毛の進行を抑えながら、発毛も促す」というダブルの効果が期待され、男性には5%、女性には、低濃度(1%)の外用薬が安全性に配慮された設計で販売されています。

刺激に弱い方や女性でも、自分に合った濃度から始めることで、副作用を防ぎながら続けやすくなります。

また、外用タイプは内服に比べて全身への影響が少なく、副作用リスクも比較的低いとされており、日本皮膚科学会のガイドラインでも「推奨度A(強く勧められる)」と明記されています6

このように内服薬と外用薬では「効果の出方」「体への負担」「認可状況」が大きく異なるため、はじめてミノキシジルを使う方は特に、医師と相談しながら、自分にとって最適な治療法を選ぶことが大切です。

ミノキシジルと他の治療薬との違い

ミノキシジルは「髪を生やす・育てる」ことに特化した治療薬です。

一方で、AGA治療薬としてよく知られているフィナステリドやデュタステリドは、薄毛の進行を抑える役割を持っています。

この役割の違いを知ることで、より効果的な治療の組み合わせを選べるようになります。

フィナステリド・デュタステリド

フィナステリドとデュタステリドは、いずれも「DHT(ジヒドロテストステロン)」という脱毛の原因となる男性ホルモンを作り出す酵素の働きを抑える薬です。

DHTは、男性ホルモンの一種「テストステロン」が体内の酵素(※5αリダクターゼ)によって変換されてできます。

フィナステリドは、5αリダクターゼ※のうち「Ⅱ型」をブロック。

デュタステリドは、「Ⅰ型」と「Ⅱ型」の両方をブロックするため、より強力にDHTを抑える効果が期待できます7

※5αリダクターゼ=テストステロンをDHTに変える酵素のこと。

ミノキシジル

一方ミノキシジルは、DHTの働きに関係せず、頭皮の血管を広げて血流を促進することで髪のもととなる毛母細胞に栄養を届け、発毛環境を整える作用があります8

血流量と毛の太さは相関することも知られており、ミノキシジルの血行促進作用は毛髪改善に有効とされています9

2つの薬の違いまとめ

フィナステリド
デュタステリド
ミノキシジル(外用)
主な作用薄毛の進行を抑える発毛を促す・血流改善
働き方DHTの生成を抑制血管拡張・栄養供給
推奨度(日本)B〜C(継続推奨)A(強く推奨)

この2つは「薄毛の進行を止める薬」「髪を生やして育てる薬」として、併用されることも多いのが特徴です。

ミノキシジルのおもな副作用

ミノキシジルは、発毛効果が科学的に認められている治療薬ですが、使用にあたっては副作用のリスクもあります。

ここでは、特に報告の多い5つの副作用とその対処法について、やさしく解説します。

①頭皮や皮膚のトラブル

ミノキシジル外用薬の使用により、かゆみ・かぶれ・発赤・乾燥など、頭皮や皮膚のトラブルが起こることがあります。

特に外用薬に含有されているアルコールやプロピレングリコールなどの添加物が肌に刺激となる場合もあり、敏感肌の方は注意が必要です10

対処法

症状が軽い場合でも、使用を中止して医師や薬剤師に相談しましょう。

低刺激タイプの製品に切り替えることで改善することもあります11

②初期脱毛

ミノキシジル使用開始後、1〜2か月のあいだに一時的に抜け毛が増えることがあります。

これを初期脱毛と呼びます。

これは「ヘアサイクル(毛が生え変わる周期)」が整う過程で、古い毛が抜けて新しい毛が生えようとする正常な反応です。

健康的な髪に生まれ変わる準備のため過度に不安を感じる必要はありません。

ミノキシジルを飲むと初期脱毛で髪がスカスカになるって本当?AGA治療の副作用について解説

対処法

多くの場合は一時的で自然に落ち着くため、あわてずに使用を継続して様子をみましょう。

当院でも、初期脱毛についての相談を承っていますので、不安なことがあれば遠慮なくご相談いただけます。

③多毛症・体毛の増加

顔や体など、塗布部位以外の毛が濃くなることがあります。

とくに女性は顔まわりや額の生え際に産毛が増えることがあるため、変化に気づきやすいです。

対処法

多毛が気になる場合は、使用量の見直しや使用部位に注意を。

気になる症状があれば早めに医師へ相談しましょう12

ミノキシジルで体毛が濃くなる? 多毛症の副作用の確率と4つの対処法

④動悸・息切れ

ミノキシジルの血管拡張作用が全身に及ぶことで、動悸や息切れといった循環器系の症状が現れることがあります。

まれですが、体質や既往歴によっては注意が必要です。

対処法

このような症状が出た場合は、すぐに使用を中止して医師に相談してください。

重篤化を防ぐためにも早めの受診が大切です13

⑤手足のむくみ

ミノキシジルには血管拡張作用があるため、まれに血流やリンパの循環が乱れ、手足のむくみが起こることがあります。

特に内服薬で見られやすい副作用のひとつです。

対処法

軽度の場合は様子を見ることもありますが、むくみが続く・日常生活に支障がある場合は医師へ相談しましょう14

副作用の発症確率は約6~15%

ミノキシジルは、発毛効果の高い治療薬として広く利用されていますが、副作用のリスクがゼロではありません。

特に「内服薬(ミノタブ)」と「外用薬(塗るタイプ)」では、発症する副作用の頻度や重症度が異なります。

ここでは、それぞれの副作用発症率と傾向について、最新の研究データやガイドラインをもとにポイントを整理してご紹介します。

外用ミノキシジルの副作用:発症率は6〜15%

ミノキシジル外用薬では、かゆみ・赤み・フケ・接触皮膚炎などの軽度な皮膚トラブルが報告されています。

日本皮膚科学会のガイドラインによれば、 5%ミノキシジル外用液を使用した場合の接触皮膚炎の発症率は約6%とされています。

また、使用者全体の6〜15%前後に何らかの皮膚トラブルが発生しているという研究結果もあります。

多くは一時的で軽度な症状ですが、強いかゆみ・赤み・違和感がある場合は、使用を中止し、医師に相談しましょう15

内服ミノキシジルは重篤な副作用に注意|発症率は低くても油断は禁物

ミノキシジル内服薬(いわゆるミノタブ)は、日本では未承認ですが、海外では使用されている国もあります16

内服薬の副作用としては、以下のような全身症状が報告されています。17

副作用で治療を中止した人の割合は約0.5%(全体の14名)という報告もあります18

重篤な副作用のリスクがあるため、医師の管理下でのみ使用されるべき薬です。

市販薬や個人輸入による安易な服用は避けましょう。

初期脱毛は「頻度は高いが一時的な症状」

ミノキシジル使用初期には、「一時的に抜け毛が増える(初期脱毛)」という現象が起きることがあります。

これは、毛髪が新しい成長サイクルに入る準備として、古い毛が抜ける自然な反応です。

初期脱毛発生頻度の報告例

内服薬:約32%
外用薬:約17~22%(研究によって幅あり)
参考文献:Vallejo, Mikhaella. “Minoxidil Shedding: What Is It and How Long Does It Last.” HairScience, 15 Feb. 2022, https://hairscience.org/news/minoxidil-shedding/

不安になるかもしれませんが、多くは1〜2か月で落ち着く一時的な現象です。

継続使用しながら様子を見ることが大切です。

ミノキシジルの副作用を予防する方法

ミノキシジルは正しく使えば高い発毛効果が期待できますが、使い方を誤ると副作用のリスクが高まる可能性もあります。

ここでは、副作用をできる限り避けるための4つのポイントを整理して解説します。

適切な使用量を守る

ミノキシジルは、「多く使えば効果が高まる」というものではありません。

用法・用量を超えて使用すると、頭皮のかぶれ・赤みなどの皮膚症状が強く出たり、全身に影響が出ることもあります。

「多く塗れば早く生える」は間違いです。

多くの製品では、1回1mLを1日2回までが推奨されており、製品ごとの添付文書に従って使用することが大切です19

医師の指導を受けながら使用する

ミノキシジルは市販薬としても購入できますが、副作用が不安な方や持病がある方は、医師の診察を受けてから使用を始めるのが安心です。

医療機関で処方された場合は、万が一の副作用にもスムーズに対応してもらえるため、安心です。

パッチテストを行う

ミノキシジル外用薬は、頭皮に塗布するタイプの薬です。

特に敏感肌の人は、事前にパッチテストを行うと安心です。

耳の後ろや腕の内側など皮膚がやわらかい場所に少量塗り、24時間様子を見て異常がないか確認しましょう。

少しでも赤み・かゆみが出たら、すぐに洗い流して医師に相談しましょう。

頭皮環境を整える

頭皮が乾燥している・炎症がある・皮脂が過剰に分泌されているなどの状態だと、ミノキシジルの刺激を強く感じることがあります。

ミノキシジルを使う前に、頭皮を清潔・健康な状態に保つことが副作用の予防につながります

洗髪や保湿、UV対策など、日頃からの頭皮ケアも忘れずに行いましょう。

副作用が出たときの正しい対処法

ミノキシジル使用中にかゆみ・発疹・動悸・むくみなどの異変を感じたら、まずは使用を中止して、すぐに医師に相談することが最優先です。

症状が出たら、まず使用を中止

少しでも異変を感じた場合は、無理に使用を続けずただちに中止しましょう。

特に以下のような症状がある場合は、放置せず早めの対応が重要です。

☑頭皮の赤み・かゆみ・かぶれ
☑顔や手足のむくみ
☑動悸や息切れ、胸の圧迫感
☑ふらつき、倦怠感

まずは医師に相談するのが基本

副作用の程度や、ミノキシジルが原因かどうかの判断は自己判断では難しいこともあります。

そのため、最も信頼できる相談先は医師です。

市販薬を使用している場合でも、皮膚科や毛髪治療を扱うクリニックで相談しましょう。

薬局やメーカー問い合わせは補助的に

市販薬の場合、薬局の薬剤師や製造元のメーカーに問い合わせるのも有効な手段です。

ただし、症状が続いたり重かったりする場合は、必ず医師の診察を受けてください。

ミノキシジルを使用する際の注意点

ミノキシジルを安全に使い続けるためには、あらかじめ知っておくべき注意点がいくつかあります。

ここでは特に重要なリスクや確認すべきポイントを、事例も交えながらわかりやすく解説します。

個人輸入は避けて、正規品を使いましょう

インターネット通販や海外輸入代行サイトなどで、ミノキシジルを購入するケースもありますが、これは非常にリスクの高い行為です。

日本国内で承認されていない製品には、以下のような危険性があります。

・成分量や内容物が表示と異なる(偽造品の可能性)
・衛生管理が不十分な環境で製造されている
・重篤な副作用が出た際の医療対応が難しい

内服薬の場合は、心臓への負担(動悸・不整脈など)や肝機能障害を引き起こすリスクが高まります。

必ず、医療機関または薬局で購入できる正規品を使用しましょう。

内服薬の飲み合わせに気をつける

ミノキシジル内服薬(ミノタブ)は、心臓や血圧に作用する薬との相互作用に注意が必要です。

とくに降圧薬や利尿薬、β遮断薬などを使用している方は、自己判断での併用を避け、必ず医師に相談してください。

医薬品の組み合わせによっては、低血圧・むくみ・心拍数の増加といった副作用のリスクが高まる可能性があります20

ミノキシジルを使用できない可能性がある人

ミノキシジルは、発毛効果が期待できる一方で、すべての人が安全に使えるとは限りません。

以下のような体質や持病がある方は、使用を避けるか、必ず医師に相談のうえで検討する必要があります。

低血圧または高血圧の方

血圧が不安定な方は、ミノキシジルの使用で副作用が出やすくなります。

ミノキシジルには血圧を下げる作用があるため、めまい・動悸・息切れなどの症状が出る恐れがあります。

高血圧の治療中の方も含め、自己判断での使用は避けましょう。

医師に血圧の状態を伝えたうえで、使用の可否を相談してください21

心臓疾患をお持ちの方

心臓に負担をかける可能性があるため、使用は慎重に。

内服薬は特に、心拍数の増加やうっ血性心不全などの重篤な副作用が報告されています。

心疾患の既往歴がある方は、医師の厳密な管理下での判断が必要です22

甲状腺機能障害をお持ちの方

特に甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)の方は注意が必要です。

甲状腺機能の異常があると、ミノキシジルの作用で動悸・頻脈などの副作用が増幅する可能性があります。

甲状腺に関する持病がある方は、使用前に医師の診断を受けましょう23

高齢で持病があり通院している方

複数の持病がある方は、副作用のリスクが高まります。

高齢者は薬の代謝機能が低下していることも多く、他の薬との相互作用によって思わぬ副作用が生じることがあります。

服用中の薬をすべて把握したうえで、医師に相談しましょう24

妊娠中や授乳中の方

胎児や乳児への影響が懸念されるため、使用は避けてください。

経皮吸収された成分が胎児や乳児に影響を及ぼす可能性があるため、安全性の観点から使用を避けるべきとされています25

「不安」「疑問」に答えるミノキシジルQ&A

ミノキシジルは外用薬と内服薬のどちらの方が効果が高いですか?

安全性と有効性の両面から見て、外用薬が推奨されています。

一部では「内服薬(ミノタブ)の方が効果が高い」といわれることもありますが、これは医学的に正式に認められた情報ではありません。

その理由は、ミノキシジルの内服薬は日本では未承認であり、有効性・安全性が十分に確立されていないからです。

実際、内服薬には心臓や血管系への重大な副作用リスクがあるとされており、先ほどより紹介している日本皮膚科学会のガイドラインでは「行うべきではない(D評価)」と明記されています。

一方で、外用薬(特に5%濃度)は、有効性が臨床試験で証明されており、推奨度A(強く勧められる)とされています。

頭皮に直接作用し、副作用も比較的少ないため、国内では外用薬が第一選択肢として使われています。

つまり、効果だけでなくリスクもふまえたうえで選ぶなら、外用薬の方が信頼性の高い選択肢といえます26

ミノキシジルの使用をやめたら抜け毛が増えますか?

ミノキシジルをやめると、再び抜け毛が増える可能性があります。

というのも、ミノキシジルは一時的に脱毛の進行を抑えたり、発毛を促進したりする薬であり、効果を持続させるには継続使用が前提です。

実際、日本皮膚科学会のガイドラインでも、外用薬・内服薬ともに「中止すれば再び脱毛が進行する」と明記されています。

これは、薬の効果によって延びていた毛の成長期が、薬の中止によって元に戻ってしまうためです。

たとえば、数ヶ月〜1年かけて発毛効果が出てきても、使用を中断すると徐々に髪が抜け、治療前の状態に戻ってしまうケースがほとんどといわれています。

つまり、ミノキシジルの効果を維持するには、継続して使い続けることが重要です。

中止を検討する場合は、自己判断せずに、必ず医師と相談のうえで決めましょう27

ミノキシジル使用中はシャンプーにもこだわるべきですか?

ミノキシジル使用中はシャンプーの選び方にも注意を払うのが望ましいです。

というのも、頭皮環境が悪いと、せっかくのミノキシジルの効果が十分に発揮されない可能性があるからです。

たとえば、皮脂や汚れが毛穴に詰まっていたり、乾燥や刺激で炎症が起きていたりすると、薬剤が浸透しづらくなったり、頭皮のトラブルを悪化させる恐れがあります。

実際、市販の強い洗浄力のあるシャンプーでは、頭皮が乾燥しやすくなる、バリア機能が低下するなどのリスクがあり、これが副作用やかゆみの原因になることもあります。

そのため、アミノ酸系の低刺激シャンプーや、頭皮ケアに特化した製品を選ぶことが推奨されます。

とくにフケ・かゆみ・炎症のある方は、ミノキシジルとの相性も考慮し、医師や薬剤師に相談してシャンプーを選ぶのが安心です。

ミノキシジルが効かない人はいますか?

ミノキシジルが効きにくい、あるいは効果が見られない人もいます。

なぜなら、ミノキシジルは血流促進や毛包の成長期延長を通じて発毛を促す薬ですが、効果の出方には個人差が大きいからです。

特に、脱毛がかなり進行している場合や、毛包そのものが消失している場合は、発毛効果を得ることが難しいとされています。

日本皮膚科学会のガイドラインでも、「すでに毛包が消失している部分では効果が乏しい可能性がある」と明記されています。

また、使用方法が適切でない(使用量が少ない・塗布場所がズレているなど)ケースや、頭皮環境が悪化している状態でも、効果を実感しにくくなります。

「効かない」と感じた場合でも、すぐに中止するのではなく、6ヶ月以上使用し、効果を見極めたうえで医師に相談するのが大切です28

女性でも使用できますか?

ミノキシジルは女性にも使用できます

その理由は、ミノキシジル外用薬は性別に関係なく血流を促進し、毛包の成長を助ける働きがあるためです。

実際に、日本国内でも女性用として1%濃度のミノキシジル外用薬が一般医薬品として承認・販売されています。

ただし、男性用の5%濃度の製品は女性が使うと副作用(頭皮トラブルや多毛症など)のリスクが高まる可能性があるため、使用は避けた方がよいとされています。

また、妊娠中や授乳中は安全性が確認されていないため、使用は推奨されません。

使用を検討する場合は、女性向けの製品を選び、事前に医師や薬剤師に相談することが大切です29

内服薬を服用すると体毛も濃くなるので、それ以外の方法で毛を生やす方法はありますか?

外用薬や注入療法など、体毛が濃くなりにくい治療法もあります。

内服薬(ミノタブ)は、全身に作用するため、発毛効果が高い反面、体毛が濃くなる「多毛症」が比較的高頻度で見られます(発症率15.1%)30

これは、薬の成分が頭皮以外にも作用してしまうことが原因です。

その点、ミノキシジルの外用薬は頭皮に直接塗布するため、局所的に働き、内服薬に比べて体毛への影響はかなり少ないとされています。

当院では、ミノキシジルの内服に不安のある方へ向けて、幹細胞培養上清液を用いた副作用の少ない治療をご提案しています。

体毛の増加などが気になる方でも、安心して治療に取り組んでいただけます。

ミノキシジルの外用薬は市販のものでも効果はありますか

市販のミノキシジル外用薬でも、正しく使用すれば効果が期待できます。

なぜなら、ミノキシジルは医薬品成分として十分な研究が行われており、5%濃度の製剤を使用した臨床試験では、プラセボ(偽薬)と比較して有意な発毛効果が示されたからです。

実際に、5%濃度のミノキシジルを使った臨床試験では、使わなかった人(プラセボ群)と比べて、髪が増えたという効果が明確に確認されています。

このことから、市販のミノキシジル外用薬であっても、正しく使い続けることで、発毛効果が期待できるといえます。
市販薬だからといって効果がないわけではありません。

継続して使うこと、正しい用量・使用方法を守ることが大切です31

まとめ

ミノキシジルは、発毛を促す成分として高い効果が期待される治療薬です。

特に外用薬は、日本皮膚科学会でも「推奨度A」とされており、安全性と実績のある選択肢といえます。

ただし、副作用のリスクもゼロではないため、正しい使い方と医師のサポートがとても大切です。

特に内服薬は体への影響が大きいため、必ず医師と相談して判断しましょう。

「分け目が気にならなくなった」「髪のハリが戻ってきた」など、ミノキシジルは髪の変化と一緒に前向きな気持ちも取り戻せる治療です。

焦らず、自分のペースで続けていきましょう。

参考文献

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  2. 前田憲寿「第Ⅰ編毛髪再生研究の最先端・第1章 発毛・毛髪再生総論」(『毛髪再生の最前線』株式会社シーエムシー出版、2020年)4、5ページ。
  3. 壮年性脱毛症における発毛剤 ミノキシジル配合外用液5%「FCI」富士化学工業株式会社 添付文書。
  4. 前田憲寿「第Ⅰ編毛髪再生研究の最先端・第1章 発毛・毛髪再生総論」(『毛髪再生の最前線』株式会社シーエムシー出版、2020年)4、5ページ。
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  6. 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版。壮年性脱毛症における発毛剤 ミノキシジル配合外用液5%「FCI」富士化学工業株式会社 添付文書。2021年4月作成(第1版) 壮年性脱毛症における発毛剤 女性薬ミノキシジル配合外用液1%「FCI」富士化学工業株式会社 添付文書。
  7. 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版。
  8. 前田憲寿「第Ⅰ編毛髪再生研究の最先端・第1章 発毛・毛髪再生総論」(『毛髪再生の最前線』株式会社シーエムシー出版、2020年)4~5ページ​
  9. 公益社団法人日本毛髪科学協会『改訂版ヘアサイエンス』(2023年)41、42ページ。
  10. 壮年性脱毛症における発毛剤 ミノキシジル配合外用液5%「FCI」富士化学工業株式会社 添付文書。2021年4月作成(第1版) 壮年性脱毛症における発毛剤 女性薬ミノキシジル配合外用液1%「FCI」富士化学工業株式会社 添付文書。
  11. 壮年性脱毛症における発毛剤 ミノキシジル配合外用液5%「FCI」富士化学工業株式会社 添付文書。
  12. 2021年4月作成(第1版) 壮年性脱毛症における発毛剤 女性薬ミノキシジル配合外用液1%「FCI」富士化学工業株式会社 添付文書。
  13. 壮年性脱毛症における発毛剤 ミノキシジル配合外用液5%「FCI」富士化学工業株式会社 添付文書。
  14. 壮年性脱毛症における発毛剤 ミノキシジル配合外用液5%「FCI」富士化学工業株式会社 添付文書。
  15. 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版。
  16. 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版。
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  18. Vañó-Galván, Sergio, et al. “Safety of Low-Dose Oral Minoxidil for Hair Loss: A Multicenter Study of 1404 Patients.” Journal of the American Academy of Dermatology, vol. 84, no. 6, 2021, pp. 1644–1651,https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33639244/
  19. 壮年性脱毛症における発毛剤 ミノキシジル配合外用液5%「FCI」富士化学工業株式会社 添付文書。
  20. 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版。壮年性脱毛症における発毛剤 ミノキシジル配合外用液5%「FCI」富士化学工業株式会社 添付文書。
  21. 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版。2021年4月作成(第1版) 壮年性脱毛症における発毛剤 女性薬ミノキシジル配合外用液1%「FCI」富士化学工業株式会社 添付文書。
  22. 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版。
  23. 壮年性脱毛症における発毛剤 ミノキシジル配合外用液5%「FCI」富士化学工業株式会社 添付文書。2021年4月作成(第1版) 壮年性脱毛症における発毛剤 女性薬ミノキシジル配合外用液1%「FCI」富士化学工業株式会社 添付文書。
  24. 壮年性脱毛症における発毛剤 ミノキシジル配合外用液5%「FCI」富士化学工業株式会社 添付文書。2021年4月作成(第1版) 壮年性脱毛症における発毛剤 女性薬ミノキシジル配合外用液1%「FCI」富士化学工業株式会社 添付文書。
  25. 2021年4月作成(第1版) 壮年性脱毛症における発毛剤 女性薬ミノキシジル配合外用液1%「FCI」富士化学工業株式会社 添付文書。
  26. 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版。
  27. 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版。壮年性脱毛症における発毛剤 ミノキシジル配合外用液5%「FCI」富士化学工業株式会社 添付文書。
  28. 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版。
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  30. Vañó-Galván, Sergio, et al. “Safety of Low-Dose Oral Minoxidil for Hair Loss: A Multicenter Study of 1404 Patients.” Journal of the American Academy of Dermatology, vol. 84, no. 6, 2021, pp. 1644–1651,https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33639244/
  31. 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版。