「AGA治療薬でうつになることがあるって本当?」
そんな不安を抱えて、ネットやSNSで情報を探している方も多いのではないでしょうか。
実際、AGA(男性型脱毛症)の治療に使われる一部の内服薬では、ごくまれに抑うつ症状などの副作用が見られることがあります。
とくに自己判断で薬を選んだり、ネットの評判だけを頼りに治療を始めたりすると、「こんなはずじゃなかった」と後悔することにもなりかねません。
医療の分野では、薬の効果だけでなく「誰に、どんな治療が合うのか」を見極めるための医師の専門的な判断が欠かせません。
AGA治療も例外ではなく、「正しい知識」と「信頼できる相談先」があってこそ、安全で効果的な治療が成り立つのです。
副作用が怖いからと治療を避けるのも、むやみに情報に振り回されるのも、どちらもあなたの大切な時間と健康を損ねる可能性があります。
大切なのは、冷静に正しい情報を知り、自分に合った治療法を見つけること。
この記事では、AGA治療の副作用や抑うつ症状のリスクについて、わかりやすく解説しています。
これから治療を始めようとしている方も、すでに服用中で不安を感じている方も、「後悔しない判断」をするためのヒントがきっと見つかります。
目次
AGA治療薬の副作用でうつになる?
「薄毛の治療を始めたいけれど、副作用で“うつ”になるって本当?」
そんな不安を感じたことはありませんか?
AGA(男性型脱毛症)の治療に使われる内服薬には、副作用としてごくまれに抑うつ症状が報告されており、注意が必要です。
とくに、男性ホルモンのDHT(ジヒドロテストステロン)を抑制する作用をもつ薬剤は、ホルモンバランスや神経伝達に影響を与える可能性があるため、慎重に使用する必要があります1。
副作用のリスクを理解するには、まず薬の種類を知っておく必要があります。
世界中で薄毛治療に用いられている内服薬は3種類
現在、AGAの内服治療に使われている代表的な薬剤は以下の3つです。
いずれも有効性が認められており、多くの医療機関で使用されていますが、副作用のリスクも薬剤ごとに異なります。
フィナステリド(プロペシア)
フィナステリドは、男性ホルモンの一種であるテストステロンを、より強力なDHT(ジヒドロテストステロン)に変換する酵素(Ⅱ型5α還元酵素)の働きを抑える薬です2。
DHTはAGAの進行に深く関わっているとされており、その産生を抑えることで薄毛の進行を遅らせることができます。
日本では2005年に承認され、とくに20〜40代の男性において高い発毛効果が確認されています。継続的に服用することで、毛髪の太さや本数の改善が期待できるとされ、国内外の臨床試験でも発毛効果が証明されています。
副作用としては、まれに精神面や性機能に関する症状が報告されることがありますが、全体としての発生頻度は低く、多くの方が問題なく継続できる治療薬のひとつです3。
デュタステリド(ザガーロ)
デュタステリドは、DHTの産生に関わる酵素である「Ⅰ型」と「Ⅱ型」の5α還元酵素の両方を抑制する内服薬です。
フィナステリドよりも広い範囲のDHT生成を抑えられるため、より強力な治療効果が期待できます4。
日本では2016年に承認され、30〜50代の男性を中心に使用されています。とくに頭頂部や前頭部の進行した薄毛にも有効とされ、一定期間継続することで改善が見込めるとされています5。
効果が高い反面、個人差によってはまれに副作用が出ることもあるため、定期的な診察や医師の判断のもとで使用することが推奨されています。
ミノキシジル
ミノキシジルは、血流を促進することで毛根に栄養を届けやすくし、発毛をサポートする成分です。
もともとは高血圧の治療薬として使われていた内服薬でしたが、体毛が増えるという副作用から発毛剤としての可能性が注目され、薄毛治療に広く用いられています。
日本では、男性用に5%、女性用に1%の濃度の外用薬が市販されており、頭皮に直接塗布して使用します6。
外用ミノキシジルは、20代から60代までの幅広い年齢層に使われており、とくに初期の薄毛に効果を実感しやすいとされています7。
なお、海外ではミノキシジルの内服薬も存在しますが、日本では未承認となっています。
内服は外用よりも全身への作用が強く、使用には医師の診察が必要です8。
副作用としては、頭皮のかゆみ・赤み・かぶれなどの皮膚症状のほか、まれに動悸やむくみといった症状など、一部に副作用が見られることもあります9。
AGA治療薬を飲んでいる時に起こる抑うつ症状10
これらは一部の方に見られる可能性があり、「いつもと違う」と感じたときは、無理せず医師に相談してみることが大切です。
早めに対処することで、安心して治療を続けやすくなり、結果的にAGA治療の効果にもつながっていきます。
とくに注意が必要なのは、若年層の方です。
次に、実際に報告されている年齢と副作用の関係について見ていきましょう。
若年層ほど精神的副作用のリスクが高い可能性がある
「年齢が若いほど、副作用のリスクが高いって本当?」
そんな声が聞かれることがあります。
実際、海外の研究では、18〜44歳のフィナステリド使用者において、精神的副作用や自殺念慮の報告が比較的多いとされています11。
若年層では、薄毛そのものに対する心理的負担が大きくなりやすく、薬の影響とメンタルの不安定さが重なって、症状が出やすいと考えられています。
もちろんすべての人に当てはまるわけではありませんが、年齢的に不安を抱えやすい方は、治療の初期段階から医師との密なコミュニケーションを意識すると安心です。
AGA治療薬における抑うつ症状の発生頻度は1%未満
「抑うつ症状って、実際にはどれくらいの人に起こるの?」
そんな疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、AGA治療薬による抑うつ症状の発生頻度は低く、明確な頻度は記載されていないものの、1%未満と考えられています。
なかでもフィナステリドは、「抑うつ症状(頻度不明)」と報告されており、精神的な副作用の報告がある数少ないAGA治療薬のひとつです12。
ただし、これはすべての患者に共通して起こるものではなく、体質や心理的要因、もともとの精神状態などが影響している可能性も指摘されています。
デュタステリドについても、添付文書に「抑うつ気分」という記載がありますが、発現頻度は1%未満とされており、非常にまれな副作用と位置づけられています13。
一方で、ミノキシジル(外用薬)については、精神症状に関する明確な記載は添付文書にもガイドラインにも見られません。
つまり、「非常にまれではあるけれど、完全にゼロとは言えないこと」を知っておくことが、不安に振り回されずに治療を続ける第一歩になります。
抑うつ症状の原因は本当にAGA治療薬なのか?
「AGA治療薬を飲み始めてから、なんとなく気分が沈むかも」
そのように感じたとき「本当に薬のせいなのか、それとも、ほかの理由があるのかは気になるところですよね。
実は、抑うつ症状の原因はひとつではなく、ホルモンや神経伝達物質のバランス、心理的な影響などが複雑に絡み合っていると考えられています。
ここでは、考えられる3つの要因について解説します。
DHTの抑制が脳内ホルモンに影響する可能性
AGA治療薬であるフィナステリドやデュタステリドは、DHT(ジヒドロテストステロン)の生成を抑えることで発毛を促します。
しかしこのDHTは、脳内で働く「神経ステロイド」の原料でもあり、抑制されることで脳内物質のバランスが変化する可能性があります。
神経ステロイドはストレス緩和や気分の安定に関与するため、そのバランスが崩れると抑うつ症状や不安症状などの精神的影響が出ることがあると考えられています14。
ホルモンバランスの変化が不調につながる可能性
DHTの抑制によって、体内の男性ホルモン全体のバランスが変化することがあります。
ホルモンは気分や自律神経、体温調整などにも影響するため、一時的なバランスの乱れが心身の不調につながることもあります。
このようなホルモン変動による影響は個人差が大きく、疲れやストレス、睡眠の質などとも相互に関係しているため、薬の影響だけで判断することは難しい側面もあります15。
こうした状態が続くと、日常生活の質(QOL)にも影響し、精神的な落ち込みを引き起こすことがあります。
ノセボ効果による影響の可能性
「この薬、うつになるってネットで見た」
そんな不安や思い込みが、心身の症状として現れることがあります。
こうした反応は“ノセボ効果”と呼ばれています。
SNSやネット上の情報に敏感な人ほど、その不安が現実の症状につながりやすいとも言われています。
AGA治療薬と抑うつ症状の治療薬は併用可能?
「AGA治療薬を飲んでいたら、なんだか気分が沈むような気がする」
「うつっぽい症状が出てきたから、抗うつ薬を処方してもらった方がいいのかな?」
そんな不安や疑問を抱えている方もいるのではないでしょうか。
基本的にはAGA治療薬と抗うつ薬の併用は可能です。
ただし、薬の種類や体質によっては相互作用の可能性がゼロとは言えないため、必ず主治医に相談したうえで判断することが大切です。
フィナステリドやデュタステリドは肝臓で分解されるお薬なので、同じく肝臓で代謝される抗うつ薬と一緒に使うと、体の中でお薬同士が影響し合ってしまう可能性があります。
体調の変化があった場合はすぐに医師に伝えるようにしましょう。
また、すでにうつ病の治療中で薬を服用している方は、AGA治療の開始前に必ずその旨を医師に伝えることが重要です。
無理をして薬を飲み続けるのではなく、「いまの自分にとって無理なく続けられる治療かどうか」を医師と一緒に確認していくことが、心身の両面から見た治療の成功につながります。
ポストフィナステリドシンドローム(PFS)とは
「薬をやめたのに、気分の落ち込みや体調不良がずっと続いている…」
それはもしかすると、ポストフィナステリドシンドローム(PFS)かもしれません。
PFSとは、フィナステリドやデュタステリドの使用を中止したあとも、抑うつ症状や性機能の不調などが長期間続く状態を指します16。
ただし、PFSには明確な医学的な診断基準がなく、まだ研究途上の概念であることを理解しておくことが大切です。
PFSの原因として考えられていること
PFSの原因はまだ明らかになっていませんが、以下のような要因が関係していると考えられています。
考えられている原因
こうした状態が重なって、「なんとなくつらい」、「ずっと調子が戻らない」と感じることがあるのかもしれません。
PFSが心配なときのセルフチェックリスト
以下の項目に複数あてはまる場合は、専門の医師に相談してみましょう。
チェックリスト
- □AGA治療薬(フィナステリドやデュタステリド)を中止したあとも、不調が続いている
- □抑うつ感や不安感など、気分の落ち込みがなかなか改善しない
- □性欲の低下や勃起障害などの性機能の変化が、薬をやめた後も続いている
- □寝つきが悪い、途中で起きる、過眠など、睡眠の質が大きく変わった
- □集中力が続かない・仕事や趣味への関心が薄れてきた
- □「このままずっと治らないかも」と強い不安を感じている
- □周囲の人に「最近元気がない」と心配されたことがある
※このセルフチェックは診断を行うものではありません。
気になる症状がある場合は、早めに医師に相談することをおすすめします。
ポストフィナステリドシンドローム(PFS)になった時の3つの対策
「薬をやめたのに、気分が晴れない」
「性機能や体調がずっと戻らない」
そんな状態が長く続くと、「もしかしてPFSかも?」と不安になることもあるかもしれません。
もしそう感じたときには、ひとりで悩まず、できることから少しずつ取り組んでみることが大切です。
ここでは、PFSと考えられる不調に対しておすすめできる3つの対策をご紹介します。
生活習慣の見直しと改善
PFSの症状は、ストレスや疲労の影響で強く出ることもあります。
まずは、睡眠・食事・運動といった基本的な生活習慣を整えることが、心身の回復につながる第一歩です。
とくに、質のよい睡眠や軽い運動は、気分の安定やホルモンバランスのサポートにも効果があるといわれています。
心療内科や精神科など医師のサポートを受ける
「自分で、どうにもできない」と感じるときは、専門の医師に相談することが大切です。
心療内科や精神科では、症状に合わせて薬の処方や心理的サポートを受けることができるため、安心して日常生活を送るための支えになります。
抑うつ症状や不安感が強い場合は、早めの受診を検討しましょう。
PFSに詳しい医師や専門機関を見つける
PFSはまだ医学的な認知が進んでいない分野でもあるため、すべての医師が詳しいわけではありません。
不安な症状が続く場合は、PFSに理解のあるクリニックや、AGA治療に詳しい専門医を探すことも選択肢のひとつです。
ネットでの情報収集だけで判断せず、「相談できる場所」を見つけることが回復への一歩になるかもしれません。
AGA治療薬のその他の副作用
AGA治療薬には、抑うつ症状以外にもいくつかの副作用が報告されています。
多くは軽度かつ一時的なものですが、事前に知っておくことで、不安を感じたときに落ち着いて対処しやすくなります。
※1 初期脱毛は治療の効果が出る前段階で一時的に抜け毛が増える状態のことで、多くの場合2か月程度で自然におさまります。
※1 Baltazar Sanabria, MDa ∙ Tamara de Nardo Vanzela, MDb ∙ Hélio Amante Miot, MD, PhDc ∙ Paulo Müller Ramos, MD, PhD. “Adverse effects of low-dose oral minoxidil for androgenetic alopecia in 435 patients.” Journal of the American Academy of Dermatology, April 2021,https://www.jaad.org/article/S0190-9622(20)33074-7/fulltext.
Mikhaella Vallejo, “Minoxidil Shedding (A Temporary Side Effect), ” HairScience,2022.08.27, https://hairscience.org/news/minoxidil-shedding/#authors.19
※2 2023年8月改訂(第4版)、2023年6月改訂(第3版)5α-還元酵素Ⅱ型阻害薬◎男性型脱毛症用薬◎フィナステリド錠添付文書。2021年8月改訂(第1版)5α還元酵素1型/2型阻害薬 男性型脱毛症治療薬 デュタステリドカプセル添付文書20。
※2 性機能障害はAGA治療薬で報告されている中でも比較的多い副作用のひとつですが、多くは薬の中止や変更によって改善する傾向があります。
※3 2021年8月改訂(第1版)5α還元酵素1型/2型阻害薬 男性型脱毛症治療薬 デュタステリドカプセル添付文書21。
※4 Vañó-Galván, Sergio, et al. “Safety of Low-Dose Oral Minoxidil for Hair Loss: A Multicenter Study of 1404 Patients.” Journal of the American Academy of Dermatology, vol. 84, no. 6, 2021, pp. 1644–1651,https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33639244/.22。
※4 多毛症はミノキシジルの全身への作用によって起きる副作用で、内服の場合に報告例が多くなっています。
※5 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版23。
副作用や抑うつ症状への不安を軽減するための考え方
AGA治療に対する不安を抱えるのは、決して特別なことではありません。
とくに「副作用」「うつ」といった言葉には、どうしても敏感になってしまうものです。
ここでは、不安との向き合い方について考えてみましょう。
不安は自然な反応と理解する
「副作用が出たらどうしよう」「うつっぽくなったら…」
そう感じるのは、きっと誰でも一度は思うことだと思います。
何か新しい治療を始めるときに不安になるのは、ごく自然なこと。
だからまずは、「不安を感じている自分」を、そのまま認めてあげてください。
無理に気持ちを整理しようとしなくても、大丈夫です。
それだけで、少し気持ちがラクになることもあります。
情報に振り回されすぎない
ネットやSNSでは、ネガティブな情報ほど目につきやすいもの。
でも、誰かの体験が自分にも当てはまるとは限りません。
たとえば、まれな副作用を大きく取り上げた記事や投稿を見て、必要以上に怖くなってしまうこともあります。
情報はあくまで“判断の材料のひとつ”。
冷静に見極めて、自分に合った選択をしていくことが大切です。
ノセボ効果を知っておく
実際には安全性が高い薬でも、「怖い」と思い込むことで、頭痛やめまい、気分の落ち込みなどが起こることがあります。
先ほども紹介しましたが、これは“ノセボ効果”と呼ばれ、不安や思い込みが体の症状として現れる現象です。
だからこそ、不安を強く抱えすぎないことも大切です。
薬そのものだけでなく、「気持ちの持ち方」も、治療の一部として考えてみましょう。
AGA治療薬を中止する判断基準
AGA治療薬には副作用のリスクがあるとはいえ、多くの場合は継続可能な範囲におさまります。
でも中には、「続けるべきかどうか迷ってしまう」ような症状が出ることも。
そんなときは、以下の項目に当てはまるかどうかをひとつの目安にしてみてください。
あくまでも参考のひとつとして、自己判断せず、医師と相談のうえで治療方針を決めましょう。
「いくつか当てはまるかも」と感じたら、ひとりで抱え込まず、医師に相談してみることが大切です。
AGA内服薬以外の治療法
「内服薬はちょっと不安…」という方も、心配はいりません。
AGAの治療には、体への負担が比較的少ない選択肢もいくつかあります。
こうした治療法は、内服薬と併用することも、単独で行うことも可能です。
「副作用が気になる」「体にやさしい方法を試したい」と感じたときは、無理に続けず、自分に合った選択肢を探していくことが大切です。
当院では、全身への副作用の心配が少ない幹細胞培養上清液を用いた頭皮への注入治療を行っています。
内服薬が不安な方にも取り入れていただきやすい治療法ですので、気になる方はぜひ一度ご相談ください。
AGA治療を続けるために大切なこと
AGA治療は、すぐに結果が出るものではありません。
だからこそ「どう向き合うか」「どう続けていくか」がとても大切です。
ここでは、治療を前向きに続けるためのヒントを4つご紹介します。
自分のペースで治療を続ける
「治療を続けるのがつらい」と感じたとき、まず思い出してほしいのは、無理をしすぎないことも“続ける力”のひとつだということ。
他人と比べる必要はありません。
効果の現れ方にも、不安の感じ方にも、個人差があります。
焦らず、自分に合ったペースで取り組んでいくことが大切です。
副作用や抑うつ症状に対して冷静に対応する
もしも「なんだかいつもと違うな」と感じたら、まずは冷静に状況を見つめることが大切です。
症状が軽い場合は様子を見ることもありますが、継続的な不調や日常生活への支障が出ている場合は、早めに医師へ相談しましょう。
「ひとりで頑張らなくてもいい」ということを、忘れないでください。
精神的なサポートを求める
副作用に限らず、治療そのものが不安やストレスの原因になることもあります。
そんなときは、信頼できる医師や家族、カウンセラーに話をしてみましょう。
話すだけで、気持ちが軽くなることもあります。
誰かに頼ることは、弱さではなく「治療を続けるための工夫」のひとつです。
生活習慣を整えることで治療効果を高める
治療薬の力だけでなく、普段の生活も発毛に大きく関わっています。
睡眠・食事・適度な運動・ストレスケアなど、日々の過ごし方を整えることは、治療効果をサポートするだけでなく、体調全体を安定させるためにも有効です。
まずは「自分にできそうなことから1つ」始めてみましょう。
よくある質問Q&A|AGA治療薬と抑うつ症状の不安に答えます
AGA治療薬に関する不安や悩みは、人それぞれ。
ここでは、特に多く寄せられる「副作用」や「抑うつ症状」に関する質問にお答えします。
AGA治療薬を飲んで抑うつ症状が出た場合、すぐに治療を中止すべきですか?
すぐに中止せず、まずは医師に相談することが大切です。
抑うつ症状が出た場合は、自己判断での継続・中断どちらもリスクになります。
添付文書にも、「自殺念慮、自殺企図の報告があるため、異常があれば投与を中止し、医師へ相談すること」と明記されています24。
AGA治療薬で抑うつ症状が出た場合、やめたら元に戻りますか?
改善することもありますが、すぐに元に戻るとは限りません。
一部の症例では、服用中止後も症状が持続したという報告もあります。
そのため、専門医と連携しながら慎重に経過をみる必要があります25。
AGA治療薬を途中でやめたら、また髪は抜けてしまいますか?
治療をやめると、再び脱毛が進行する可能性があります。
たとえばAGA治療で代表的な薬剤であるフィナステリドの添付文書には、「本剤を中止すると数か月以内に脱毛の進行が見られる」と明記されています26。
継続の判断は、医師と相談しながら慎重に進めることが大切です。
AGA治療薬の副作用は、誰にでも現れるのでしょうか?
副作用が現れるのは一部の方のみです。
たとえば、性欲減退や勃起機能の低下などの副作用は「1~5%未満」とされています27。
すべての人に副作用が出るわけではありません。
抑うつ症状が強くなった場合、AGA治療薬を一時的に休むのは有効ですか?
有効な選択肢の一つですが、必ず医師の判断を仰ぎましょう。
添付文書では、精神的異常が見られた場合には服用を中止することが示されています。
一時的な休薬で体調を観察するのも、リスクを抑える方法です28。
副作用を避けるために、AGA治療薬を使わずに治療したいです。
内服薬以外の治療法も複数あります。
外用薬(ミノキシジル)や注入療法(幹細胞培養上清・PRP)、LED・低出力レーザー治療など、薬に頼らない選択肢もガイドラインで推奨されています29。
当院では副作用の少ない幹細胞培養上清液を用いた注入治療を行っています。
「薬に頼らず、自然な形で髪を増やしたい」——そんな方に選ばれている治療法です。
内服薬を使用しない注入治療の改善事例
まずは、あなたの髪のお悩みをお聞かせください。
丁寧なカウンセリングで、あなたに合った治療をご提案いたします。
お気軽にクリニックまでご相談にお越しください。
副作用や抑うつ症状を軽減する方法はありますか?
気持ちの持ち方や生活習慣も、大きな影響を与えます。
先ほども紹介したように、強い不安や思い込みが、実際に体調不良を引き起こす「ノセボ効果」として現れることがあります。
「怖い」と感じたときは、医師に不安を話すだけでも症状が軽減することもあります。
家族に心配されたとき、どう説明すればいいですか?
「医師と相談しながら、安全に治療している」と伝えてみてください。
治療薬は医師の診察・説明のもとで処方されており、リスクや副作用についてもあらかじめ十分に情報提供されています。
「心配してくれてありがとう」と言いつつ、自分なりに考えて治療を選んでいることを伝えれば、安心してもらえるかもしれません。
まとめ AGA治療薬による“うつ”の不安と、安心して向き合うために
「AGA治療薬でうつになるかもしれない」
そんな不安を抱えて、このページにたどり着いた方もいるかもしれません。
実際、ごくまれに抑うつ症状などの副作用が報告されていますが、その頻度は非常に低く、すべての人に起こるわけではありません。
一方で、薄毛の悩みそのものが強いストレスとなることもあり、特に若年層では心理的な影響を受けやすい傾向も見られます。
大切なのは、不安をひとりで抱えず、正しい情報をもとに治療と向き合うこと。
必要に応じて医師に相談し、治療法を見直すことも前向きな選択です。
内服薬に不安がある方には、幹細胞培養上清液やPRP療法、外用薬など、体にやさしい選択肢もあります。
当院では、内服薬以外の治療もご案内しています。
不安な気持ちを抱えている方も、どうぞお気軽にご相談ください。
参考文献
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- 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版。